大手特許事務所のメリットとデメリット【転職経験2回の弁理士の経験談】

特許事務所

こんなお悩みありませんか?

転職希望者
転職希望者

・特許事務所への転職に興味があるけど、大手か中小かどちらがいいんだろう…

・大手特許事務所の特徴が知りたい

・給料は大手か中小がどっちがいいんだろう…

元JTC(日系大手メーカー)技術者、大手特許事務所、中規模特許事務所経験者の現役弁理士の経験談をもとに語ります。

ここでは、所員100人以上(弁理士・特許技術者・特許事務)の規模の事務所を大手特許事務所と定義します。

大手特許事務所のメリット

  1. 特定業務に集中できる
  2. オフィスの立地がいい
  3. 出向/駐在経験

特定業務に集中できる

大手特許事務所は業務の細分化が進んでいる所が多いので、技術分野・事務手続など細分化させている事務所が多いです。

具体的には、機械系のみの出願を担当、事務手続はほとんど特許事務がやってくれるなどです。集中して業務に取り組みたい方(例えば、国内出願・中間処理を集中して大量にやりたいなど)には大手事務所に向いていると思います。

逆にいえば、飽きてきても同じ分野の仕事しかできない場合が多く、また、特許事務は手続が複雑なので、独立を考えている方は不向きかもしれません。

オフィスの立地がいい

大手特許事務所は資本力があるので、立地のいいオフィスを構えている場合が多いです。立地のいいオフィスを構える理由としては

  • 採用しやすい(所員が通いやすい、いいオフィスに通いたいというニーズにこたえられる)
  • 信用力(企業から選ばれる一要因になるかも?)

が、大きな理由として挙げられます。

企業知財部の立場からすると、「あの事務所は●●に立地を構えていて、(儲かっていそうで)安定してそうなので、安心して複数案件任せられそうです!」って担当者が上司に説明しやすいとかw

雑居ビルに入っている特許事務所とか信用なさそうですもんね。

逆にいえば、立地のいいオフィスに構えている分、莫大な経費がかかっているということなので、その分の負担はもちろん所員がしなければいけません。

なので、一等地から外れた場所でひっそりやっている中規模以下の事務所の方が、給料がいい場合とかはザラにあります。

出向/駐在経験

大手特許事務所になると、大企業とのつながりも太くなってくるので、企業知財部へ出向できる場合もあります。

また、海外の特許事務所に派遣してくれる特許事務所もあります。ただし、出向や駐在は、所内である程度経験を積んで事務所から信用を得た弁理士でないと難しいです。

大手特許事務所のデメリット

  1. 業務範囲が狭い
  2. 年功序列
  3. 組織的で「個」が求められない

業務範囲が狭い

メリットの裏返しになりますが、業務範囲が狭いので、色々な技術分野に挑戦したい方、意匠・商標にも挑戦したいという方は、大手事務所は不向きかと思います。

中小規模事務所になると業務範囲が広い分、大変な面ももちろんありますが、複数の技術分野を経験できたり、特許事務手続も経験できるので、独立を目指している方には向いてる環境といえます。

年功序列

特許事務所は年齢層がかなり高めで、弁理士の平均年齢は約53歳です。

https://www.jpaa.or.jp/cms/wp-content/uploads/2022/03/dstribution-202202.pdf

多くが40代以上であり、昔の弁理士(50代以降)はすごく儲かっていた時代があり、その時代から在籍している弁理士の年収は下げにくい傾向があるので、成果に見合った収入を得ているかというと疑問が残ります。

知り合いの事務所では、創業当時からいる特許事務の方に1000万円以上の給料を支払っている、という話も聞きますので、フェアな給与テーブルをのぞむ方は向いていないかもしれません。

組織的で「個」が求められない

JTC系の大企業に勤めていた経験がある方ならなんとなく肌感があるかもしれませんが、基本的に大手特許事務所では「個」は求められず、いかに案件数をこなすかが求められます。

JTC系の大企業のように正直歯車感は強いです。

ルーティンが好きな方にはおすすめですが、同じようなことをずっと続けられない方には、長く勤めるのは向いてないといえます。

中小規模事務所では、権利化・訴訟・鑑定・調査・意匠・商標など幅広く業務に携われる可能性が高いので、大手で集中して基礎的な権利化スキルを身に着けたあとに中小規模事務所に転職して、幅広く実務経験を積む、というのはおすすめのキャリア戦略の1つです。

年収・指導体制は?

年収面について

年収面について、大手特許事務所の方が年収がいいようにも思えますが、全くそうともいえません。

ただ個人的には、上述したように、一等地のオフィスには莫大な経費がかかっているので、その分所員への給与の還元率はよくないかもしれません。

所員への還元率は、1つの基準としては、個人が売り上げた金額の33%(売上2000万円の弁理士・特許技術者の場合、年収は660万円)という目安があります。

ただし、還元率は特許事務所によって全く違うので、その点注意が必要です。

私が転職活動していたとき、大規模特許事務所から中規模特許事務所の複数の事務所から内定をいただきましたが、年収500万円~750万円と提示額はこれだけ差がありました。

転職活動する際は、複数の事務所を受けて比較することをおすすめします。

指導面について

特に未経験で特許事務所に転職される方が、一番気を付けることは指導してもらえるかどうかです。

指導について、業界でも意見が割れるところで、大手事務所と中小規模事務所とでどちらがいいか一概にいえません。

私自身の経験からいえば、資本的な余裕がある大手特許事務所だったので、しっかり教育に時間をかけてもらえました。

一方で大規模事務所に知財未経験で転職した別の知人から聞いた話だと、指導がテキトーで、なかなか出願案件をやらせてもらえず、翻訳ばかりやらされた、という話も聞きます。

いい指導を受けられる1つの可能性の高い方法としては、50人程度の中規模事務所に転職することです。中規模事務所の場合、私の周りでは比較的いい指導を受けているという肌感です。また、面接のときに、将来の自分の指導担当になる弁理士と直接コミュニケーションをとれる可能性が高いので、そのときに指導者との相性を確認できることもメリットです(大手特許事務所の場合、自分の指導者にあたる人が面接に出てこない場合もある)。

転職に失敗しないために

  • 指導が一番大事
  • 知人の紹介
  • 転職エージェント

未経験者には指導してもらえるかが一番大事

特に特許事務所の未経験者は、適切な指導をしてもらるか?が最も大事なことで、年収よりも大事です。実務能力があれば、年収は比較的簡単に上がるからです。

それにはたくさんの特許事務所の面接を受けて、できれば自分を直接指導してくれるであろう弁理士と直接コミュニケーションとれるのがベストです。

指導体制が整っているか?を最重要の軸に転職活動してみてください。

知人の紹介

最も外さない方法です。これがベストです。特に弁理士試験に合格すると、合格者のコミュニティができるので、そこでコネクションを作ることもできます。

また最近はTwitterなどでもコミュニティができているので、そこに参加してもいいですね。

転職エージェント

未経験で転職を考えている方で、特許事務所に詳しい知人もいない場合、知財転職専門のエージェントサービスを活用するといいでしょう。

ただし、担当者によってクオリティにばらつきがあるので、複数社のサービスを平行して活用するとよいでしょう。

私の場合は、3社のサービスを平行して活用して、最終的には一番積極的にフォローしてくれたエージェントさんを活用して転職しました。

特許事務所の転職につよい転職エージェントサービスを最後に紹介しておきます。

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