特許事務所から特許事務所への転職で失敗・後悔しないために必要なこと14選

特許事務所
特許事務所の転職に興味ある人
特許事務所の転職に興味ある人

・今の特許事務所よりも年収のいい事務所に転職したい

・もう少しホワイトな特許事務所に転職したいなぁ…

・キャリアの幅を広げられる事務所に転職したい

こんにちは!理系人の働き方研究所のつっちーです。今回はこんな↑お悩みにお答えします。

私の経歴はこんな感じです。

  • 日系大手メーカー(JTC)技術者
  • 大手特許事務所
  • ITエンタメ系ベンチャー
  • 中小特許事務所(←イマココで勤務弁理士)

以前に、未経験の方向けに特許事務所の転職記事を書きましたが、今回は経験者の方向けに記事を書きました。

読者の想定としては、実務経験を少なくとも2年以上くらいの経験を積んだ方で、

  • 年収を上げたい
  • 残業が少ない事務所に行きたい
  • キャリアの幅を広げたい
  • 上司と合わない
  • 経営者の考え方と合わない

などを理由に、転職に興味を持っている方です。

転職を考える前に

まず、転職を考える前に、自分の実務レベルを客観的に分析してみてください。

特に、

  • 国内出願
  • 国内中間応答

このスキルの基礎が固まっていない状態で、別の事務所に転職するとなると、また別の指導を受けなければいけない可能性もあるので、非常に非効率です。

明細書の書き方は、事務所とか人によって流儀が全然違います。最初に学んだ流儀と別の流儀で、再度学ばなければいけないとなると非常に効率が悪いです。

最低限、上記のスキルの基礎は固めた上で転職活動するのが無難でしょう。

ちなみに実務レベルは↓を参考に考えてみてください。レベル3くらいに到達していれば転職するには十分かと思います。

  1. レベル1:がっつり指導してもらってる。指導者のチェックがないと、とても納品できないレベル
  2. レベル2:指導者に見てもらっていて、チェックのたびに、本質的な部分を修正されるレベル
  3. レベル3:指導者にチェックしてもらっているが、本質的な部分以外の微修正。指導者に面談に同席してもらうも、一応自分で回せるレベル。
  4. レベル4:面談も含めて、実務を自分1人で回せる
  5. レベル5:リーダー職(部下に指導できる)
  6. レベル6:パートナー(経営層)

転職にあたって意識しておくべきこと

1つ目の特許事務所への転職(就職)のときは、業界のこともあまりわかっていなかったので、よくわからないまま事務所に転職した方も多いと思います。

2つめの事務所への転職の場合、ある程度業界のことが分かってきていると思うので、どういうキャリアを作っていきたいかの大枠の方向性は明確にしておいた方がいいです。

例えば、↓こんな感じです。

  • 係争系の案件の経験を多く積みたい → 法律系の特許事務所を選ぶ
  • 商標もやってみたい → 商標系の事務所や中小規模の特許事務所を選ぶ
  • 上流の知財コンサルをやってみたい → 中小・スタートアップ企業が多い事務所を選ぶ
  • スタートアップ系の経験を積みたい → スタートアップ特化型の事務所を選ぶ

なお、中小・スタートアップ系をやってみたいけど、収入面を考えて大企業案件もバランスよくやりたい方は、30~50人規模くらいの中規模事務所さんで、大企業と中小・スタートアップ企業の両方をやってる事務所さんもあるので、おすすめです。

大企業案件で手堅く稼ぎながら、中小・スタートアップのおもしろい案件も経験できます。

転職の際、腕のいい転職エージェントなら↑のような事務所を探してきてくれます。

転職で失敗・後悔しないための留意事項14選

以下のようなことに気を付けておくといいでしょう。

  1. 案件の単価が高いか
  2. 外国案件が多いか
  3. 所員への還元率は高いか
  4. 給与形態
  5. 創業者が現役か
  6. (指導してもらいたい人は)指導体制があるか
  7. 業務委託契約か雇用契約か
  8. 社会保険は加入しているか
  9. 勤務時間
  10. リモート・フレックス制度を導入しているか
  11. オフィスの立地
  12. DXは進んでいるか
  13. 自分の上司にあたる人は誰か
  14. 所長の器

案件の単価が高いか

難易度は少し高めですが、バイオ、医療機器、遊技機など、案件単価の高そうなクライアントを抱えているか、J-PLATPATで事前に調べましょう。

外国案件が多いか

内外、外内案件が多いということは、利益率が高いという傾向があります。

利益に率の高さは給与に直結します。こちらもJ-PLATPATで事前に内外、外内案件の過多を調べましょう。

所員への給与還元率は高いか

1つの目安として、売上に対して所員への還元率が33%というのがあります。

還元率が30%後半の事務所は、還元率は高いといえます。

還元率はもちろん一般公開されていないので、知人から情報を入手するか、面談で直接聞くかしかないと思います。

情報が手に入るかはわかりませんが、転職エージェント経由で事務所にヒアリングしてもらってもいいかもしれません。

給与形態はどうなっているか

固定給か、売上連動性か、またはその両方なのか、確認しましょう。

自信のある方は、売上連動の事務所の方が還元率が高くていいと思います。

事務所の創業者が現役か

創業時からの事務所の存続年数が多い場合、現役でない創業者が事務所に籍を置いている可能性があります。

創業者というのは、事務所の売上の一部を自分が保有する株式会社(親族が役員など)に流しているケースもあります。

なので、創業者が表に出てバリバリやってない事務所は、所員への還元率が相対的に低くなるということになります。

弁理士ナビで事務所の名前をいれて、当該事務所のホームページに載っていない年配の弁理士の名前が出てきたら、その年配の弁理士は創業者である可能性があり、創業者が裏で在籍している可能性があるので、ぜひ転職前は調べてみてください。

業務委託契約か雇用契約か

どちらがいい悪いはないですが、どのような契約形態かはしっかり確認しておきましょう。

業務委託の場合、自由度が高い代わりに社会保険とかないので、そのへんは注意しましょう。

指導体制があるか

指導をしてもらい方は、指導体制がどうなっているかは面談で必ず聞きましょう。

私は2度目の特許事務所の転職のとき、転職エージェントに依頼して、指導体制がある特許事務所を優先的に紹介してもらってました。

社会保険に加入しているか

雇用契約の場合、社会保険に加入している事務所が多いんですが、加入してない場合もあるので、念のため確認しておきましょう。

勤務時間は少ないか

売上連動の事務所は関係ないですが、勤務時間が↓のパターンのように事務所によるので、勤務時間が少ない事務所を選びましょう。

  • 1時間の休憩込みで8時間
  • 1時間の休憩込みで8.5時間
  • 1時間の休憩込みで9時間

リモート・フレックス制度を導入しているか

現在リモート制度を導入している事務所でも、将来的に撤廃する可能性もあるので、その辺を確認しておきましょう。

オフィスの立地

一等地に事務所を構えている事務所は、その分経費がかかっているので、所員への還元率が低い場合があります。

キラキラのオフィスに従業員を100人以上抱えている立派な事務所には憧れますが、そのオフィス代は所員が稼がなければいけないことは忘れないでおきましょう。

個人的には一等地から少し離れた場所でやってる中規模特許事務所がおすすめです。

IT化は進んでいるか

未だに履歴書を紙で送付することを求めたり、ペーパーテストを受けさせたりする事務所があります。そういう事務所は、実務でもIT化が進んでいません。

IT化の遅れは経費の増加につながり、所員への還元率の低さにもつながります。

IT化を積極的に実施している事務所を選びましょう。

自分の上司にあたる人は誰か

自分の上司にあたる人とは、面談で話して、相性の確認をしておきましょう。

所長の器

特許事務所は小さな組織なので、所長の思想がそのまま組織に反映されます。

搾取思想の所長の下で働くのは避けましょう。

面接で所長と話して、違和感を感じたら入所するのは辞めた方がいいです。

最後に

案件単価や経費、所員への還元率の違いから、同じ仕事をしていても給与が全く異なる場合があるのがこの業界です。

1社目はわけもわからず入所した人も多いと思うので仕方ないと思いますが、転職を考えている方は、2社目は戦略的に優良ホワイト事務所を狙って転職しましょう。

自分で特許事務所の情報を集めるのは大変ですが、転職エージェントを活用すれば↑で述べた14の情報も手に入れられる可能性が高いので、転職を考えている方は転職エージェントを活用してみてください。

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