こんにちは。つっちーです。簡単な経歴はこんな感じです↓
・機械、IT系の弁理士 ・元日系大手メーカー技術者、元ITエンタメ系ベンチャー ・大規模特許事務所、中規模特許事務所を経験 ・知財業界でのキャリア相談を受付けてます →キャリア相談ある方はTwitterでDMください(^^) https://twitter.com/messages
・弁理士って難しいわりに将来性はどうなんだろう?
・弁理士って今後食える資格なのかな?
・弁理士ってぶっちゃけオワコンなの?
今回はこんな↑ギモンにお答えします。
弁理士はなぜオワコンと言われるのか?将来性は?
弁理士がオワコンと言われる4つの理由を列挙してみました。
- 弁理士試験の合格者者が年々減っている
- 特許出願件数が減っている
- 高齢化が進んでいる
- AIの台頭
順に解説していきます。
弁理士試験の合格者が減っている
弁理士試験の合格者は、2009年ごろのピーク時には800人ほどいました。
ですが、近年は合格者は減少傾向にあり、令和2年には287人、令和3年の合格者は199人でした。
「弁理士自体の需要が減ってきているから、合格者を減らしているのでは?」
という憶測から、弁理士オワコン説が言われるようになりました。
特許出願件数が減っている
特許出願件数自体は世界第3位なのですが、日本の特許件数は頭打ちして、毎年微減しています。
意匠、商標については増加傾向にありますが、ボリューム・市場規模的には特許が大きいので、
特許出願件数の減少から将来性が懸念されています。
高齢化が進んでいる
全国の弁理士の合計人数は約1万2千人で、弁理士の平均年齢は約53歳です(2022年3月時点)。
そして、↑図にもあるように、40歳未満の弁理士は全体の10.6%程度しかいません。
2002年、小泉政権が知財立国を掲げたときから、弁理士の数は急増し、その時代の弁理士たちが現在のマジョリティであり、若い人は非常に少ないです。
実際働いていても、40代でも若手の部類に入るとことは珍しくありません。確実に高齢化が進んでいます。
AIの台頭
イギリスの名門・オックスフォード大学と日本のシンクタンク・野村総合研究所が共同研究を行い、10~20年後に弁理士が消滅する可能性は92%という記事も出されました。
AI(人口知能)の発達により、士業の定型業務はなくなっていくのでは?と言われており、特許事務所の弁理士においてもそのように言われてます。
特に商標の分野では、toreru、cotoboxなどAIを使ってオンラインで商標出願ができるサービスも出てきているので、システム化が進んでいるように思います。
弁理士は実際のところ将来性がなくオワコンなのか?
弁理士に将来性がある理由を列挙しました。
- 外国特許出願(PCT国際出願)は微増
- “若手”にチャンスあり
- 一部業務はシステム化してるが、まだまだレガシーな業界
外国出願は増えている
確かに国内出願は減っていますが、外国出願(PCT国際出願)は微増傾向にあります。
PCT国際出願というのは、すごくざっくりいうと、一つの出願で一度に世界各国に出願できるという制度です。
PCT出願が増えているのは、世界各国(とくにアメリカ・中国・ヨーロッパ・韓国)で権利を抑えたい企業が増えていることの表れでもあります。
日本は人口減少・少子高齢化によりマーケットが縮小していくので、今後はどんどん海外進出していかないと企業を継続していくのが厳しい時代です。
なので、国際出願は今後も底堅く微増していくと予測しております。
“若手”にチャンスあり
一般的に”若手”というと、20代とかをイメージしますが、弁理士業界は30代はもちろん下手したら40代前半でも”若手”と呼ばれます。
少し上述しましたが、2002年ごろに弁理士がドカッと増え、そのころに弁理士になった現在45~60歳くらいの方々がボリュームゾーンになってます。
そして、60代、70代の重鎮の弁理士の先生方もまだまだ多く、その世代の方々が今後引退していくことを考えると、10年後の弁理士の数はかなり少なくなっていくと予測されます。
なので、現在30代~40代あたりの弁理士は今後需要が増えると予測されます。
また、現在弁理士でなくても、今のうちに弁理士になっておくと、すごくチャンスです。
弁理士試験合格者は確かに減っていますが、逆に合格者が減っているこの時代に弁理士になることで、将来に恩恵を受けられる可能性も大いにありえます。
さらに、特許出願件数自体は減っていますが、
- 特許出願はあくまで微減であること
- 外国出願は微増であること
- 意匠・商標は増えていること
- 特許庁が中小・スタートアップ企業の知財支援に力をいれはじめていること
を考えると、弁理士1人あたりの案件数は今後増える可能性が非常に高いと思っております。
まだまだレガシーな業界
この記事にも書いてますが、弁理士業務はそんな単純な仕事ばかりではありません。
上述したように、確かに一部の業務(例:商標出願)については、AIシステム化が進んでいるものもありますが、
弁理士業務は総じて複雑な業務が多いので、部分的にAIに置き換わったとしても、弁理士業務の大部分がAIに置き換わるのはまだまだ先の話でしょう。
特許事務所で実際仕事をしていても、まだまだアナログでレガシーな業界だと感じます。
AIにとってかわられる心配は今のところ全くありません(FAXを使ってる事務所とかもまだまだたくさんあります)。
むしろAIが普及するのはすごくいいことで、定型業務はどんどんシステム化して、
クライアントにとって価値のある業務(コンサルティング、知財戦略立案など)に時間をどんどん割いていくべきです。
AIが普及したとしても、AIを使いこなして高付加価値業務に仕事をシフトしていける弁理士ならば、全く心配ないでしょう。
将来性のないオワコン弁理士にならないためには?
- 専門性をふかぼる
- コミュニケーションスキルを磨く
- 守備範囲を広げる
専門性を極める
この分野だけは誰にも負けない、という分野を持つと自信にもつながりますし、他の弁理士との差別化にもなります。
例えば、
- スタートアップ系の企業に強い弁理士
- 自動車関連の技術に強い弁理士
- AI、ブロックチェーン、メタバース、NFTなど最新技術に強い弁理士
などなど。
機械系・IT系・化学系などのカテゴリのレベルでは差別化になりにくので、
様々な切り口で分野を絞って専門性を高めていくことで、希少価値があがり、周囲の弁理士との差別化につながります。
コミュニケーションスキルを磨く
弁理士は理系人材が8割を超えており、コミュニケーションが得意というよりは、研究者・技術者・職人気質の方が多いです。
ですので、コミュニケーション能力が高いと、ひと際目立ちます笑。
“コミュニケーション能力”を少しかみ砕くと、
- 発明者から丁寧にヒアリングをして、発明の本質を引き出せる
- お客さんと話しながら、お客さんの求めるものを的確に把握し、それを提供できる
- 組織のメンバーだけでなく、社外のメンバーとも積極的に交流して情報収集できる
などです。
技術・法律・語学ができて、さらにコミュニケーション能力も高い弁理士は鬼に金棒なので、ぜひコミュニケーション能力を磨くことをおすすめします。
守備範囲を広げる
弁理士の技術分野は、機械、電気、IT、化学、バイオ、意匠、商標と、大枠このように分かれています。
↑の中の1つの分野しかできない、というよりは他の分野もできる方が仕事の幅も増えますし、重宝されます。
私自身、元々機械系が専門ですが、最近IT系の分野も案件を担当するようになりました。
もちろん、日々勉強は必要ですが、発明者ほど深く技術を理解していなくても、弁理士業務は十分できるようになります。
複数分野ができるようになると、仕事の幅が増えるだけでなく、機械系の知識がIT系で活かされ、IT系の知識が機械系で活かされ、と相乗効果を生んで、弁理士のスキルに深みがグッと増しました。
最後に
色々説明してきたように、弁理士業界はまだまだ将来性があり、全然オワコンの業界ではありません。
日本国内だけで考えると、確かに需要は縮小していくかもしれませんが、海外にうってでる企業はどんどん増えていくので、まだまだチャンスがあります。
特に海外に興味があり、外国志向が強い方は向いている仕事だと思います。
弁理士に向いている人の特徴を↓の記事にまとめているので、興味ある方はぜひ参考にしてみてください。
- 弁理士に興味がある
- もっと弁理士について知りたい
- 弁理士としてどういうキャリアがあるのかを具体的に知りたい
など、相談したい方はぜひTwitter経由でDMください(^^
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