・特許事務所未経験なので、転職するの不安だな…
・転職を考えてるけど、後悔したくない
・特許事務所への転職で後悔しないためにはどうすればいいの?
こんにちは。知財人の働き方研究所のつっちーです。今回はこんな↑お悩みにお答えします。
私の経歴はこんな感じです。
- 日系大手メーカー(JTC)技術者
- 大手特許事務所
- ITエンタメ系ベンチャー
- 中小特許事務所(←イマココで勤務弁理士)
特許事務所への転職を過去に2回経験したことがあります(知財未経験から大規模特許事務所への転職と、ITベンチャー企業から中規模特許事務所への転職)。
この記事を読めば、
- 特許事務所に転職して後悔することはどんなこと?
- 後悔しないためにはどうすればいいの?
というギモンが解決できるかと思います。
特許事務所に転職して後悔する人の特徴5選
- 思ったように指導してもらえない
- 残業が多い
- 人間関係
- 案件がなかなかさばけない
- 意外と組織的な面がある
順に解説していきます。
思ったように指導してもらえない
「思ったように指導してもらえない」というのは、特に未経験者にとっては、一番大きな後悔だと思います。
前提として、未経験者の方は、”まず国内案件の中間対応(拒絶理由通知対応など)・国内案件の出願業務の実務経験を積む”というのが最も大事な要素になります。
全く何も指導してもらえず完全放置、という話は聞いたことありませんが、中間対応や出願業務ではなく翻訳とか特許調査の仕事ばかりやらされたり、自分が意図しない業務をやらされるケースはなくはありません。
翻訳とか特許調査が悪いという意味ではなく、実務能力のベースとなるのは、国内中間対応・国内出願のスキルであり、これらを全然やらせてもらえず、
転職したことを後悔した…という話は同僚から聞いたことあります(その同僚は1年くらいで見切りをつけて違う事務所に転職してました)。
残業が多い
入所前に残業時間の目安というのは教えてもらえるかもしれませんが、
あくまでも目安の時間なので、業務が思ったよりも多く(または思ったよりも案件をさばけず)、残業時間が思っていたよりも多くなるケースはあります。
特に2~3月の期末前は、かなり忙しくなる特許事務所もあるので(残業60時間以上とか)、一定の心の準備は必要です。
しかし、特許事務所の仕事は、やればやるほど経験値がどんどんたまっていきます。
具体的に私自身の経験でいいますと、大手日系メーカーで技術者として働いていたとき、残業80時間超とかザラにあって、
そもそもかなり忙しかった上に、無駄な会議とか無駄な社内調整業務とか無駄な資料作成業務とか、とにかく効率悪いことが多くて残業時間が膨れ上がるということがたくさんあったんですが、
特許事務所の場合、無駄な業務はほとんどなく、自分の成長のためになる仕事ばかりなので、
たとえ残業時間が多くても、ただそれだけ経験値がたまっていくということであり、メーカー技術者時代に比べて、ストレスはかなり少なかったです。
もちろん慢性的にずっと残業時間が多いのは考えものですが、特に経験が浅いうちは、たとえ残業時間が長くても、それだけ経験を積めている、成長できている、と考えると気が楽になると思います。
人間関係
企業の会社員の場合、チームで動くことが多いですが、特許事務所の場合、個人で動く場合がほとんどです。
なので、企業の会社員と比べると、特許事務所の場合は、関わるメンバーの人数はかなり少ないで、人間関係のストレスは少ないようにも思いますが、
指導者との相性が悪ければ、面倒なことになります。
指導者とは関わる時間が長くなるので、指導者との相性があわずに人間関係に悩む人はいます。
また、指導者以外にも、所長との相性も大事です。
特に中規模以下の事務所では、所長との距離が近いケースが多く、所長のワンマン経営という事務所もあるので、所長との相性というか、考え方の違いとかは非常に大事です。
案件がなかなかさばけない
これも特に未経験者によくありますが、実務を思うようになかなか処理できず(実務の処理スピードが遅い)、フラストレーションがたまる場合というのはよくあります。
指導者のチェックが何度も入ったり、ダメだしをされたりして、
- 自分はなんて能力がないんだ
- 成果を上げられてない自分は給料泥棒だ
- 頑張っていても、なかなか案件をさばけず辛い…
などなど、フラストレーションがたまります。
しかし、未経験なので、最初は思うようにできなくてあたりまえです。
“遅れの法則“というのがあって、努力量(時間)と成果量は、比例関係にあると思えるかもしれませんが、実は比例しません。
停滞の期間(微増の期間)が長く続いて、ある地点をきっかけに爆発的に成果を上げられるようになる、というものです。
自身の体験でいうと、未経験で特許実務業務を覚えていたとき、1~2年くらい苦しい期間が続いた後に、ふっと上昇するような感覚を掴み、それ以来実務をコツを少し掴み、サクサク案件が進むことが増えたことを今でも覚えています。
また、弁理士試験に挑戦していたときも同じようなことがあって、
ずっと成績が伸びず悩んでいたんですが、それでも頑張って継続して勉強し続けた結果、あるときに爆発的に成績が伸びたとか。
何事も停滞期間とか修行期間みたいなものはあるかなと思うので、未経験で入所して、案件があまりさばけなくても、全く気にする必要はなく、
コツコツ継続していればいつか必ず上昇するタイミングがおとずれます。
上昇のタイミングの前で諦めてしまうと非常にもったいないので、とにかく継続することが大事です。
意外と組織的な場合がある
特許事務所は、メーカー企業とかに比べると、確かに自由な面は多いですが、
特に大規模事務所は、結構組織的な場合があります。
私が以前働いていた200人規模の大規模特許事務所では、「個」はあまり求められておらず、乱暴な言い方をすると、歯車のような感覚がありました。
- 組織の歯車になりたくない
- 会社の名前でなくて自分の名前で仕事がしたい
- 上司に管理・指示されたくない
- もっと自由に働きたい
などなど、自由さを求めて転職した私にとっては、若干窮屈に感じることは正直ありました(それでも大企業メーカーよりは、自由度は大分高かったですがw)。
なので、自由を求めて特許事務所に来た方には(特に大手特許事務所)、もしかしたら思ったより窮屈に感じるかもしれません。
※前職の事務所では、チャイムが鳴ると同時に全員がランチいくとか、休憩時間・勤怠もきっちり管理されていました
特許事務所への転職で後悔しない3つの方法
転職で後悔する人の5つの特徴を踏まえ、後悔しないためにはどうすればいいか?を解説していきます。
ある程度の心構えを事前に持っておく
↓の部分については、事前にある程度心構えを持っておくという対策しかありません。
- 残業が多い
- 案件がなかなかさばけない
- 意外と組織的な場合がある
最初の修行期間は、どうしても残業が多くなったり、案件の進捗がなかなか進まなかったりということはありますが、心構えさえできればそんなに心配する必要はありません。
詳しくは後述しますが、実務能力さえつけてしまえば、後でなんとでもなるからです。
転職前に特許事務所の情報をしっかり収集する
事前にしっかり特許事務所の情報収集をすることで、↓について回避できる可能性が高まります。
- 思ったように指導してもらえない
- 人間関係
特に未経験者の方は、みっちり情報収集して、しっかり指導をしてもらえる特許事務所を必ず選びましょう。
未経験者にとってはしっかり指導してもらえる特許事務所を選べるかが全てといっても過言ではありません。
詳しくはこちらの記事に書いてますので参考にしてみてください。
なお、特許事務所の情報収集手段としては、↓の手段があります。
- 知人に聞く
- インターネット、SNS(Twitter、YouTube)を検索して調べる
- 転職エージェントサービスに登録して、転職エージェントに聞く
自分の持っている人脈や知識など使えるものは全て使って、特許事務所の情報をとにかく集めましょう。
特許事務所への転職は、いかに良質な情報を集めるかが非常に大事です。
私が転職活動をしていたとき、特許事務所8社中7社に内定をもらいましたが、オファーの年収のレンジは500万円~750万円でした。
やってる仕事の内容はそんなに変わらなくても、事務所によって、それだけ年収のバラつきが出てしまうのがこの業界です。
案件数が多くても単価が安ければ、給料は全然違ってきます。
たとえば、毎月5件の案件をさばくとして、単価30万円と単価20万円ならば、単純計算ですが、同じくらいの仕事量でも収入は1.5倍違うことになります。
繰り返しますが、特許事務所の転職は情報収集(良い特許事務所を見つけられるか)がめちゃくちゃ重要です。
良い事務所を見つけるためにも、使えるものは全て使いましょう。
自分でネット検索したり知り合いの力を借りて探しながら、転職エージェントを平行して使って情報収集するのが最も効率的な手段だと思います。
転職エージェントの活用方法、おすすめの知財業界専門の転職エージェントに関する記事をこちらに書いてるので、ぜひ参考にしてみてください。
なるべく若いうちに転職する
特許事務所に興味があるけど、未経験なので躊躇している人は、なるべく若いうちに転職することをおススメします。
理由としては、↓の感じです。
- 未経験の場合、歳をとるほど採用の難易度が上がる
- 特許事務所の適性を早めに判断できる
未経験での転職の場合、年齢が若いときの転職は、採用のハードルが下がります。さらに、もし万が一、特許事務所の適性が合わなかった場合、企業知財に行けるチャンスも残されております。
未経験の方の場合、一番大事なのは、特許事務所での実務能力なので、適正を見極めるうえでも早いうちに転職することをおすすめします。
特許事務所に転職し、後悔してしまったときはどうすればいいか?
後悔してしまったときは、以下のように考えればよいと思います。
一定期間割り切って我慢して、しっかり実力をつける
未経験の方は、最初の修行期間(少なくとも2~3年くらい)は覚えることも多く大変だと思います。
しかし、ある程度実力を身につけてしまえば、今度はこちらが事務所を選べる立場になります。
特許業界は転職のハードルが低く、実務能力さえ身に着けてしまえば、転職しやすい業界です。
- 残業時間が多い
- 指導者との相性がイマイチ
- 管理されてる感じが嫌。もっと自由に働きたい
など、不満が出てきたとしても、実務能力をしっかりつけるまでは、我慢が必要な場合もあります。
短い期間で仕事の適性を判断することは難しい上、短い期間で転職を繰り返すと採用基準が上がってしまうこともあるため、その点はよく考える必要があります。
どうしても我慢できないときは再度転職
とはいえ、どうしても我慢の限界を超えることはあります。
私が34歳のとき、仕事がキツくて精神がしんどく、メンタル系のクリニックに受診したことがありますが(このときはIT企業に勤務してました)、
その時、適応障害(鬱病の手前くらい)と診断されました。
その時、お医者さんにも言われましたが、命を削ってでもやらなければいけない仕事というのはありません。
どうしても無理なときは、サクッと再度転職することを検討しましょう。
体は資本であり、アナタの健康が一番大事です。
人生はマラソンなので、長く走れるように心と体の健康には注意しましょう。
知財・特許業界に強いエージェントはこちらの記事に記載しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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