こんにちは。つっちーです。簡単な経歴はこんな感じです↓
・機械、IT系の弁理士 ・大規模特許事務所、中規模特許事務所を経験 ・知財業界でのキャリア相談を受付けてます →キャリア相談ある方はTwitterでDMください https://twitter.com/messages
・弁理士に興味があるけど、給料ってどのくらいなんだろう
・弁理士試験を乗り越えて弁理士になる価値ってあるのかな
・とにかく弁理士がどのくらい稼げるか知りたい!
今回はこんな疑問にお答えします。
私の職歴はこんな感じです。
- 日系大手メーカー技術者
- ITエンタメ系ベンチャー
- 大手特許事務所
- 中小特許事務所(←イマココで勤務弁理士)
先日こんなツイートをしました。
弁理士の元同僚・同僚・同期合格者と普段から仲良くしていて、密にコミュニケーションとっており、よくお金の話をします笑。
ツイッターの反応を見ても弁理士のお金事情は気になるところではあると思うので、今回は弁理士の年収事情について書いていきます。
弁理士のキャリア分類
弁理士といっても様々なキャリアの弁理士がいるので、大きく以下のように分類しました。
- 企業知財(勤務)
- 特許事務所
- アソシエイト弁理士(経営層以外)
- パートナー弁理士(経営層)
- 所長弁理士(独立開業)
以上を前提に、分類別に年収をみていきたいと思います。
弁理士の人数は全体で約12000人弱くらいで、
弁理士会の会員分布状況にも記載されていますが、企業知財(企業内弁理士)は全体の25%くらい。
それ以外の弁理士はだいたい特許事務所か法律事務所で働いてます。
弁理士の年収事情
- 平均年収
- 企業内弁理士
- アソシエイト弁理士
- パートナー弁理士
- 所長弁理士
平均年収
MSーJAPANという知財業界の転職に強い会社調べによると、平均年収700~800万円くらいのようです。
私の友人の弁理士の年収事情を鑑みても、そんなに大きく外れていない数字だと思います。
企業内弁理士
事業会社のサラリーマンと同じ給与レンジである場合がほとんどです。
なので、新卒で350~500万円くらいでスタートして、最終的には1000万~1200万円が上限ってとこだと思います。
特許事務所は弁理士になると給料が大きくアップしますが、企業内弁理士は、弁理士になって給料が大きくアップするという話はあまり聞きません。
あと、弁理士は維持費(会費)が月15000円かかるんですが、会社がこの費用を負担してくれない場合もあるので、弁理士試験に合格したけど未登録の弁理士も一定数います。
個人的には企業知財でずっと働きたいと思っているならば、金銭的・時間的代償に対するリターンは少ないので、弁理士資格を取得しないでもいいと思ってます。
将来的に独立したいとか、特許事務所に転職したいとか考えている方は、弁理士資格を持っておいた方が絶対いいです。
アソシエイト弁理士
事業会社のサラリーマンよりもやや給料高いというイメージです。
特許事務所では、年齢によって給料が上がっていくというよりは、自分が売り上げた金額ベースで年収が決まることが多いので、若いうちに稼ぎたい人にはおすすめの仕事です。
ざっくりですが、こんな感じです。
- 権利化実務未経験:350万円~600万円
- 1年~5年:450~900万円
- 5年~10年:500万円~1500万円
- 10年以上:700万円~2000万円
注意点としては、↑は特許系の弁理士想定なので、商標系の弁理士の場合、もう少し年収が落ちます(特許の方が単価が高い)。
事務所によっては、雇われている状態でも2000万円を目指せるので夢がありますよね。
パートナー弁理士
パートナー弁理士になると、経営責任を負う分、年収は高くなります。
1000万円~5000万円くらいが相場かなと思います。
知り合いのパートナー弁理士に聞いたところ、こんな感じですね。
- 50人規模事務所のパートナー弁理士A(30代):1000万円
- 50人規模事務所のパートナー弁理士B(50代):2000万円
- 200人以上規模事務所のパートナー弁理士C(50代):4000~5000万円
所長弁理士
独立すれば収入は青天井なんですが、見落としがちなポイントについて解説します。
- 1人所長
- マネージャー的所長
弁理士会の会員分布状況によると、弁理士のうち約31%が1人特許事務所をやってます(2つの事務所に所属してる人もいますがここでは無視します)。
1人事務所の場合、どうしても売上に限界があります。
特許事務所は労働集約型のビジネスなので、1人の稼働時間には限度があるためです。
休みなしで1年間働いたとして、せいぜい年商3000万円くらいが限度でしょう。
なお、マネージャー的なポジションで特許事務所を経営する場合は、それこそ収入は青天井です。
弁理士で年収をあげるにはどうすればいいか?
- 企業内弁理士
- 特許事務所弁理士
企業内弁理士の場合と、特許事務所弁理士の場合に分けて、それぞれについて年収を上げる方法について説明していきます。
企業内弁理士
2つの方法があると思います。
- 社内で出世を目指す
- 転職する
社内出世
社内で出世を目指すのは王道です。しかし、知財部の立場上、知財部から役員が出るケースは超レアケースなので、知財部である以上、一定以上の出世は見込めないということは認識しておくべきです。
悲しいですが、メーカーの場合、どうしても技術部の立場が強くなり、そこからの方が出世しやすいのが現実です。
ただし、ワークライフバランスを重視して、安定した収入を維持しつつ、ゆったりと働きたいという方にはいい職場かもしれません。
転職
会社によって知財部の立ち位置はまちまちです。
極端に知財の立ち位置が低い会社もあれば、知財の立ち位置が相対的に高いキヤノンやパナソニックのような会社もあります。
なので、知財部を高く評価してもらえる会社に転職して年収をあげるのはかなり現実的な方法です。
特許事務所弁理士
アソシエイト弁理士に絞って言うと、次のような事務所で働くことが年収をあげるポイントです。
- 意匠、商標よりも特許
- 外国案件が多い事務所
- 案件の単価が高い事務所
- 所員への還元率が高い事務所
意匠、商標よりも特許
単価でいうと特許の方が高いので、特許専門の弁理士の方が収入が高い傾向にあります。
ただし、独立を考えている方は、商標案件が多くなることも多いので、商標のスキルを身に着けておくことは大いに意味があります。
外国案件が多い事務所
特許事務所への転職を考えている方は、その特許事務所が外国案件をどれだけ扱っているかを調べておくといいと思います。
外国案件を扱っているかは、JPLAT-PATという特許庁の無料サービスで検索することができます。
外国案件(外国の企業が日本に出願)は単価が高いです。
国内案件の単価が高い事務所
これは少し難易度が高いですが、業界によって、案件の単価は全然違います。
例えば、遊技機(パチンコ)、製薬、バイオ、医療機器などは案件の単価が高い傾向にあり、家電メーカーはあまり高くない傾向にあります。
所員への還元率
売上の1/3を所員に還元する(例えば、1500万円を売り上げた場合、500万円が給料になる)というのは、業界内での1つの目安です。
所員への還元率は事務所によって全然違うので、還元率の高い事務所を選べると、同じ労力で全然給料は違ってきます。
これも少し難易度高いですが、知人などを通じてぜひ情報収集してみてください。
最後に
ポジショントークに聞こえるかもしれませんが、弁理士になる方には最終的なキャリアとして、特許事務所をおすすめしてます。
理由としては
- 雇われている状態であっても年齢に関係なく高収入を狙える
- 雇われながらフリーランスのような働き方も可能なので、正社員とフリーランスのいいとこどりをできる
- JTC(日系大企業)のような無駄な作業・会議・ルールがなく、価値のある仕事に集中できる
- 一旦実務スキルを身に着けてしまえば、転職のハードルはめちゃくちゃ低くなり、会社に依存する人生から脱却できる
- 定年退職という概念が薄く、スキルさえあれば定年後も全然仕事がある
もちろん、実力主義とか企業に比べて安定感に欠けるとかはありますが、デメリットを大きく上回るメリットがありますし、私自身、大企業メーカーから特許事務所弁理士になって大きく人生が変わりました。
一度きりの人生、自由に自分らしく生きたい方はぜひチャレンジしてみてください。
最後にもっと特許事務所について知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。
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