・転職エージェントって使った方がいいの?
・転職エージェントサービスはどうやって使いこなせばいいんだろう
・とにかくブラック事務所は避けたい…!
こんにちは。理系人の働き方研究所のつっちーです。今回はこんな↑ギモンに答えていきたいと思います。
私の経歴はこんな感じです。
- 日系大手メーカー(JTC)技術者
- 大手特許事務所(機械系の特許技術者)
- ITエンタメ系ベンチャー
- 中小特許事務所(←イマココで機械系・IT系の勤務弁理士)
今まで特許事務所に2回転職してますが、2回とも転職エージェントサービスを活用しました。
そのおかげもあって、2回とも大満足の職場に転職することができたので、そのときの経験をもとに記事を書いていきます。
この記事を読めば、ブラック事務所を避けて、自分の理想とする特許事務所に転職できる確率が大幅にアップすると思うので、ぜひ最後まで読んでみてください。
なお、今回は特許事務所への転職というのを前提に解説していきます。
知財業界での転職活動方法は3つ
知財業界において、主な転職活動方法は↓の3つです。
- 知人の紹介(SNS経由も含む)
- 特許事務所へ直接応募
- 転職エージェント経由での応募
大前提として、転職活動のゴール(目的)は、「アナタの理想に合う特許事務所に転職すること」です。
「アナタの理想に合う特許事務所」とは、自分の理想の働き方ができるか(子ども送り迎えがしやすいかなど)、理想の収入に到達できそうか、自分のやりたい技術分野・クライアントが担当できるかなどです。
そして、ゴールを達成するための手段は、極論、知人の紹介でも直接応募でも転職エージェントでも、それ以外の手段でも何でもいいのです。
「アナタの理想に合う特許事務所」を見つける方法は、”特許事務所の情報収集“をし、”自分の理想とする特許事務所はどういうものなのか?を自分のアタマでしっかり考えて明確にする“以外ありません。
これらを前提に以下の転職活動手段のメリット・デメリットを解説していきます。
知人の紹介
以下、「知人の紹介」で転職する場合のメリット・デメリットです。
メリット
- 安心感、信頼感がある
- 採用のハードルが下がる場合がある
知人の紹介の場合、圧倒的な安心感・信頼感があります。
自分が勤めている事務所をアナタに薦められるというのは、いい職場であるということの自信の表れです。
なので、ブラック事務所の可能性は低く、働きやすい職場という可能性が高いです。
また、紹介で入所するということは、事務所側の立場で、採用コストがかからないことを意味します。
仮に転職エージェント経由で、求職者の入所が決まった場合、特許事務所から転職エージェントに求職者の年収の○○%を成果報酬として支払います。
知人の紹介で入所する場合、この採用コストが事務所側に発生しないことになります。
特許事務所側からすると、採用コストを抑えることができるので、
例えば、知財未経験で希望年収が少し高い場合であっても、「(エージェント経由に比べて)採用コストが低いし、少し給料が高くても採算がとれる可能性が高い。なので、採用してもいいかもしれないな」という場合があるわけです。
なので、結論として、紹介での入所の場合、採用のハードルが少し下がる場合があります。
デメリット
安心感・信頼感がある一方で↓のようなデメリットがあります。
- 辞めるとき、紹介者に気を使って辞めにくい
- 事務所の良しあしを人に依存して決めてしまう可能性がある
特許事務所の業界は転職のハードルが低く、1~2つの事務所に何十年も長く勤めるというよりは複数の事務所を転々としてる人もすごく多い業界です。
なので、転職が1回で済む可能性は高くないといえます。
仮に知人経由で転職し、何年か働いて別の事務所へ転職するとなった場合、知人の紹介の手前、辞めづらいという話は聞いたことあります。
また、「信頼しているこの人が良いと言ってるからきっと良い事務所だろう」と、あまり深く考えずに転職を決めてしまうことで、自分の理想とズレる場合があります。
知人にとって良い事務所であっても、アナタにとって良い事務所かどうかは別の話なので、この辺の見極めは重要です。
特許事務所へ直接応募
2つ目の転職手段としては、ホームページ経由とかで特許事務所へ直接応募する場合があります。
直接応募には以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット
- 自分の好きな事務所に応募できる
- 採用のハードルが下がる場合がある
特許事務所を探す方法は、事務所のホームページをGoogle検索で探したり、パテントサロンの求人スクエアというところに求人を出してる特許事務所が掲載されているので、そこから探すことができます。
また、知人の紹介の場合と同様のロジックで、採用のハードルが下がる場合があります。
デメリット
- 自分の理想に合う事務所か見分けるのが難しい
- 特許事務所との連絡のやりとり(交渉含め)を自分でしなければいけない
事務所のホームページとかは、基本的にマイナスな情報は書かず、キラキラみえるように掲載されていることも多いので、特に業界経験が短い場合、実際にその事務所が良い事務所か(ブラック事務所か含め)どうかを見抜くのは、どうしても難しくなります。
さらに、特許事務所とアナタが直接やりとりして、給与などの労働条件をすり合わせる必要もあります。
残業時間の目安とか、職場の人間関係とか、自分の上司にあたる人の性格だとか、「ほんとは聞きたいんだけど、相手側の心証が悪くなったら嫌だし、聞きづらいな…」というのはよくある話です。
ただ、この変の交渉とかが気にならない人は、直接応募でも問題ないでしょう。
転職エージェント
3つ目の転職手段としては、転職エージェントサービスを活用する場合があります。
転職エージェントには以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット
- 特許事務所の情報収集ができる(エージェントは業界事情に詳しい)
- 相談・壁打ち相手になってくれる
- 特許事務所に聞きにくいことも聞いてくれる
- ブラック事務所を回避できる可能性が高い
- 時には心の拠り所になってくれる
- 自分の希望に合った特許事務所を提案してくれる
- 無料で使える
特許事務所の情報収集ができる(業界事情に詳しい)
もちろん、エージェントに依る、ということを大前提として、特に知財専門の転職エージェントは特許業界事情に詳しい人が多いです。
エージェントが特許事務所と頻繁にコミュニケーションをとっていて、どういう人材が求められているか、この特許事務所はどういう雰囲気かとか、鮮度の高い情報を持っていることも多いです。
エージェントに色々質問して、特許事務所の気になる情報を集めるといいでしょう。
相談・壁打ち相手になってくれる
自分1人でキャリアのこととかを考えていても、なかなか考えが整理されなかったり、答えが出なかったりします。
自分の考えを聞いてもらって、答え合わせをする相手としても、エージェントサービスを活用することは大きなメリットです。
「子どもが小さいので、ワークライフバランスを重視した特許事務所がいいんだけど、その考え方を大事にしてくれる事務所はあるのか?」
「自分としては、「個」を大事にしているので、大規模事務所よりも中規模事務所の方が良いと思っているけど、その考え方はズレていないか?」
など、相談や自分の仮説をぶつける壁打ち相手として、エージェントを活用するのはすごくおすすめです。
特許事務所に聞きにくいことも聞いてくれる
転職エージェントサービスを活用する場合、特許事務所とアナタの間に、転職エージェントが入ってくれることになります。
- 実際の残業時間はどのくらいなのか
- 所長のワンマン経営ではないか
- 給料はどんな感じで上がっていくのか(1年目、2年目、3年目のイメージは?)
- ライフワークバランスを成立しやすそうか
「ほんとは事務所に聞きたいんだけど、聞きにくいなぁ…」
ということがあれば、ぜひエージェント経由で聞いてもらいましょう。
ブラック事務所を回避できる可能性が高い
特許業界は狭い業界なので、悪評が立つと広まりやすいです。
なので、「あの転職エージェントはブラック事務所を紹介するらしい」という噂が立てば、業界に広まり、転職エージェント会社の信用問題になるので、転職エージェントからブラック事務所を紹介される可能性は低いということになります。
ワタシを担当してくれたエージェントさんは、「ブラックだと思われる、評判の悪い事務所を紹介するのは避けるようにしてます」と言ってました。まぁエージェントの立場を考えても当然そうなりますよね笑。
時には心の拠り所に
転職活動は、孤独な闘いです。
内定をもらえないと、凹んだり、落ち込んだりして、メンタルが下がることもあります。
不安になったときの相談相手として、寄り添ってくれるエージェントさんもたくさんいますし、実際に私はすごく助かりました。
自分の希望に合った特許事務所を提案してくれる
- ワークライフバランスを重要視してくれる事務所がいい
- 機械系だけでなくIT系の案件も担当させてくれる事務所がいい
- リモート・フレックス制を採用している事務所がいい
エージェントと話をして、要望を聞いてもらって、それに見合った事務所を提案してくれます(全部かなわない場合ももちろんあります)。
自分でネット検索して探してもいいですが、例えば「ワークライフバランスを重要視してくれる事務所」とか「機械系でなくIT系も担当させてくれるか」とかは、ネットの情報のみからでは判断が非常に難しいです。
エージェントはこのように、自分の理想に合った事務所を効率的に探せる役割を担ってくれます。
デメリット
- エージェントと契約している事務所しか応募できない
- 採用ハードルが上がる可能性がある
- サービスのクオリティがエージェントそれぞれで全然違う
エージェントと契約している特許事務所しか応募できない
全ての特許事務所が転職エージェントを活用しているわけではないので、当然、転職エージェントサービスを導入していない特許事務所は、転職エージェント経由で応募することはできません。
採用ハードルが上がる可能性がある
上述したように、転職エージェントを経由すると、事務所側に採用コストが発生するので、採用のハードルが上がる可能性があります。
サービスのクオリティがエージェントそれぞれで全然違う
一番のデメリットがこれです。
本当に親身になって寄り添ってくれるエージェントがいる一方で、レスポンスが遅く、あまり相手にしてくれないエージェントもいます。
さらに、アナタの転職が成功しないと、エージェント側に成果報酬が発生しないので、転職を急かされるようなケースもあると聞きます。
結局、エージェントは使わない方がいいのか?
以上のようなデメリットがあるため、転職エージェントは使わず、自分で頑張って調べて直接応募したり、知人をたどって転職活動をした方がいいという人も一定数いるのですが、
私は直接応募と、転職エージェントを平行して転職活動を進めればいいと思う派です。
自分で特許事務所を探して、自分で応募して、自分で事務所と交渉して…というのは理想のように見えますが、情報が偏っている場合もありますし、メンタルが強い強者の理論でもあるというように思ってます。
私はメンタルもそんなに強くない凡人だったので、事務所との直接交渉も苦手でしたし、かつ、ブラックな事務所は絶対に引きたくなかったので、自分でももちろんたくさん調べて、エージェントもうまく活用しながら、とにかく情報をたくさん集めました。
結果的に、直接応募して内定をもらった事務所さんには行かず、エージェント経由で紹介してもらった事務所に転職しましたが、
頑張って特許事務所の情報をたくさん集めて、自分の理想とする特許事務所を鮮明にイメージして明確にしたかいがあって、100%自分の希望通りの特許事務所に転職することができました。
結局、どうやって転職活動をすすめたらいいの?
色々とつらつらと書いてきましたが、転職活動をするにあたっては、まず1から実行し、2,3,4の順番で進めれば良いです。
- まずは知人を当たって話を聞く
- 自分で特許事務所を調べてみる
- 知財専門転職エージェントに登録
- 転職エージェントと話しながら「自分に合う事務所」を整理していく
1の知人がいない人は、2で特許事務所をネット検索で調べてみればいいと思います(もちろん1~4を平行して進めてもOKです)。
例えば、商標案件をやってみたい場合は、「特許事務所 商標」で検索し、スタートアップ系の案件をやってみたい場合は、「特許事務所 スタートアップ」「特許事務所 ベンチャー」で検索して、どんな特許事務所があるか探してみるとよいでしょう。
そのように特許事務所を調べながら、情報を蓄積し、「自分はこういう事務所に転職したい」というイメージを醸成していってください。
それをやりながら、知財専門の転職エージェントサービスに登録。
エージェントに登録すると、エージェントから連絡が来るので、通話かメールかで、自分の転職に関する要望を伝える。時には壁打ち相手になってもらう。
エージェントと話して、さらに情報を蓄積していくと、「アナタの理想に合う特許事務所」のイメージの解像度があがっていきます。
解像度が上がってきたら、エージェントに紹介してもらった事務所と、自分で調べて良いなと思った事務所のうち気になる事務所に応募していけばよいのです。
エージェント活用の3つのテクニック
- 複数の転職エージェントサービスを活用する
- エージェントはあくまでサポート係、主役は自分、という意識を持つ
- “アナタの優先度”を上げさせる
複数の転職エージェントサービスを活用する
上述したように、転職エージェントサービスを活用する最大のデメリットは、サービスのクオリティにバラつきがあることで、言い方を選ばずに言うと、”ハズレのエージェントを引かないこと”が非常に重要です。
“アタリ”の確率を上げるには、くじ引きの数の回数を増やすしかありません。
なので、私は複数のエージェントサービスに登録し、その中で相性が良さそうなエージェントさんを選んで、エージェントサービスを活用してました。
「複数のエージェントとやりとりするのが手間だな…」と思う人は、まず1社登録して、あまり相性がよくないなと思ったら、別のエージェント会社に登録して…としてもいいと思います。
ただ比較対象がないと、そのエージェントさんが良いのか悪いのかもわからないので、複数を同時登録し、まずはエージェントの最初の反応を見ることをおすすめします(レスポンスが早いか、聞いたことに真摯に答えてくれるかなど)。
このように複数のエージェントサービスを併用することで、“アタリ”の可能性を上げられる、すなわちアナタの転職の成功確率を上げることができます。
エージェントはあくまでサポート係、主役は自分、という意識を持つ
エージェントに薦められるがままに転職を決めてしまう人も中にはいます。
転職エージェントには決して依存せず、主役はアナタ。
転職エージェントは、“アナタの転職を成功させるためのサポーターとしての位置づけである”ということを再認識しましょう。
転職エージェントはあくまで、”アナタに合う特許事務所”を見つけるために効率的に情報収集してくれる役割、かつ、アナタの思考をブラッシュアップさせてくれる役割を担っているにすぎません。
エージェントから提案された事務所でも、アナタが納得しなければ受け入れる必要はありません。
あくまで”転職成功プロジェクト”に責任を持つのは自分であるということを忘れないでください。
転職を成功させるために、エージェントをうまく活用していきましょう。
“アナタの優先度”を上げさせる
当然、エージェントは、アナタ以外にも何人もの求職者を抱えています。
そしてビジネスである以上、エージェントが抱えている求職者に優先順位が付きます。
求職者が転職しなければエージェントに報酬は入らないので、エージェントの立場としては、転職しそうな人(転職意思の強い人)を優先させます。
求職者の中には、転職エージェントに登録したものの、会社の引き止めに合ったり、仕事が忙しいため転職活動に時間を割かず、転職をズルズル先延ばしにする求職者もたくさんいます。
なので、エージェントは、転職意思の強い求職者を優先させるというわけです。
求職者側の立場から見て、転職の意思の強さをエージェントに表明する手段としては、
- エージェントへの連絡(メールの返信など)を早くする
- エージェントとコミュニケーションをたくさんとって、たくさん質問する
などの方法があります。
どのような方法にしろ、自分の転職の本気度をエージェントにアピールしましょう。
本気度が伝われば、エージェントのアナタへの優先順位は間違いなく上がります。
“アナタへの優先順位”が上がることで、エージェントがアナタの”転職プロジェクト”に使う時間の量が増え、優先して良い特許事務所を提案してくれます。
結果的に、アナタの転職の成功確率は上がることになります。
このように、上手く転職エージェントサービスを活用することで、転職の成功確率を上げることが十分に可能なので、(結果的にエージェント経由で転職しなかったとしても)情報収集、思考整理のためにもエージェントを活用することを強くお勧めします。
知財専門の転職エージェントをまとめた記事も書いてますので、こちらもぜひ参考にしてみてください。
最後に
忙しい合間を縫って複数のエージェントや特許事務所と連絡をとったり、今の仕事のスケジュールと折り合いをつけながら面談設定したり、転職活動は大変です。
ただ当たり前ですが、“転職”というのは人生への影響がかなり大きいイベントです。
転職が成功するかしないかで、その後の人生が大きく変わってきます。
私が転職活動をしていたとき、特許事務所8社中7社に内定をもらいましたが、オファーの年収のレンジは500万円~750万円でした。
やってる仕事の内容はそんなに変わらなくても、事務所によって、それだけ年収のバラつきが出てしまうのがこの業界なのです。
何が言いたいかというと、特許事務所選びはすごく大事で、頑張らなければいけない人生のターニングポイントの1つです。
100%転職を成功させるのは難しいかもしれませんが、今回の記事の内容を実践すれば、成功確率は確実に上がると思うので、ぜひ試してみてください。
転職活動はほんとに不安なことが多いとは思いますが、理想な職場に転職できると、
- 人間関係
- 年収
- 仕事内容
などのあらゆるストレスが軽減され、日々の生活にもかなり余裕がでます。
私は今の事務所に転職し、
- 年収が1.5倍に
- 残業時間は30%減
- 人間関係のストレスゼロ
- リモート・フレックスなので、子どもの送り迎え、寝かしつけもできる
- 長期休みに合わせてワーケーションもできる
などなど、前職と比べると天国のような働き方を手に入れることができ、家族仲もかなり良くなりました。
転職活動を考えている方、転職活動を既にされている方は、ぜひ頑張ってください。転職活動の成功を願っています!
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